第15話「 初デートでチェーン店! アリ? ナシ?」Vol.2

 

それが「恋愛における常識」だからだ。

 

とある女子:「チェーン店 デート、で検索してみて」

突き放すように友人へと向けられたその言葉に、カレ自身もそのワードを検索してみる。

 

厚い雲に覆われ、徐々に激しくなる雨は全く止む気配がない・・・

 

やはりというべきか、そこにはカレが予想した通りの情報が並んでいた。

最初のデートでチェーン店に行く理由は、そこまで相手の女性を好きじゃないからとか、高級なお店に連れていく価値のない女性だから、というネガティブな意見が多い。

 

しかし、こんな情報も散見される。

それは、チェーン店に連れていくオトコの男性心理について、だった。

チェーン店の料理を純粋に美味しいと思っていたり、メニューが豊富でリーズナブルだから、あるいはオシャレなお店に慣れていなくて不安だからとか、恋愛経験が少ないがゆえにチェーン店ぐらいしか知らないから、など。

 

そして、他の理由とは全く異なる角度からの意見。

ー 相手女子のリアクションによって人間性を確かめたい

つまり、わざとチェーン店に連れていき、相手女子の態度などによってその人間性を見たり、その後の付き合いを考えるというオトコの計算である。

 

とある女子:「どう?」

カレは思う。

ー カノジョは「オトコの計算」について言っているのではないだろうか。

友人女子はチェーン店に行った途端あからさまに不機嫌になり、そしてそそくさとその場を去ってしまったのだ。

つまり、その行動によってオトコに人間性を見透かされたであろうことについて友人女子にダメ出しするのでは・・・常識的に考えればそうだろう、きっと。

 

検索画面を見て友人女子はカノジョにドヤ顔を向ける。

友人:「やっぱ、みんな言ってんじゃん。本命じゃないんじゃないか、って」

検索画面をスクロールしながら友人女子は続ける。

友人:「逆にさ、もしわざとチェーン店に連れてってオンナの出方を見てるんだとしたら、そんなつまんない計算してオンナを品定めするようなオトコなんてこっちから願い下げだよ」

とある女子:「私だって願い下げだよ、そんなオトコ。そうじゃなくて、私が言いたいのは、アンタがその計算高いオトコにダマされてる、ってこと」

 

ー ん?どういうことだろう??

カレは理解が追いつかない。

 

友人:「話聞いてた?違うじゃん!チェーン店オトコとはそれっきりだし、そもそもそんなオトコはこっちから願い下げって今言ったばっかじゃん!」

とある女子:「まだわかんないの?アンタがダマされてるのはチェーン店オトコじゃなくて、いいお店に連れてってくれたオトコたちにだよ」

友人:「・・・ナニ言ってんの?」

 

そしてカノジョは予想だにしない一言を放つ。

とある女子:「厳密にはオトコたちに、じゃなく、常識にアンタはダマされてんの」

 

ー 常識にダマされる??

カノジョたちの言葉の暴風雨の中、カレの傘はその衝撃で飛ばされてしまった。

 

常識とはすなわち「見えないルール」のようなもの。

それも極めて曖昧な決め事でしかない。

なのに、人は常識=正しいと思いがちだ。

「そんなの常識じゃん」

そう言われたら、あたかもそれが正義であり真理であると思わされてしまう。

 

とある女子:「アンタ覚えてる?半年前のカレも、その前のカレも、最初はザ・オトナデートみたいなお店に連れてってくれたんでしょ?だけど、その先はどうだった?結局、適当に遊ばれただけだったじゃん。何でだかわかる?」

友人:「それは・・・」

とある女子:「アンタはチェーン店に連れていくオトコは不誠実で、きちんとしたお店に連れていってくれるオトコが自分を大切に思ってくれてる、って思い込んでる」

 

どんなに悪いオトコでも、きちんとしたお店に連れて行けば誠実な人を装える。逆にどんなに誠実なオトコでも、チェーン店に連れていくことで不誠実なオトコだと思われかねない、そういうことである。

 

とある女子:「常識だから正しいとか、みんながそう言ってるから間違いないとか、自分の考えが何もないから、常識を悪用する奴らに簡単にダマされるんだよ」

 

常識というのは、それ自体が正否の基準ではないのだ。

それはある意味ではとても当たり前な、しかし見過ごされがちで見落としがちな視点だった。

 

世の中ではさまざまな場所や環境で、さまざまな「常識」が使われている。

社会における常識、会社における常識、学校における常識、そして人間関係における常識、恋愛における常識など。

しかし、果たしてそれらの常識は正しいだろうか。

違うだろう。その「常識」を使う人の良識があって初めて正しい意味や価値を持つものになる。

自分のため、会社のため、そして社会のためなどと、いかにもな大義名分をこしらえて常識を歪め、悪用する奴らはゴマンといる。

 

だからこそ、肝に銘じなきゃいけないこと、それは・・・

 

Vol.3へつづく

 

文・山田孝之  編集・@marony_1008

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